愛媛大学校友会事務局


お知らせ

子規俳句カレンダー2008 作成エピソードをまとめました。

■■ 子規俳句カレンダー作成裏話 ■■

2007年12月19日,選句者の愛媛大学小松学長をはじめ,校友会事務局員,撮影者,翻訳していただいた
国際交流センターの田村七重さん他 みなさんにお集まりいただき,俳句勉強会を開催しました。
今回のカレンダー作成についてのエピソードや意見・評を以下にご紹介します。
正岡子規の俳句がより身近に感じられる内容です。ご感想等ございましたら,こちらまでお寄せ下さい。
                                    → 校友会事務局 office@koyu.ehime-u.jp

1月

多田満中絵巻 大学図書館蔵

一月となりけり雪もふりにけり
January has come snow has already fallen
1895年(明治28年)
「なりけり」 「ふりにけり」を英訳するのは難しかった。
重なる切れがかえって新年のすがすがしさになっている・・・選句者評
2月

章光堂 (撮影:愛媛大学広報室)

星一つ落ちて夜明けの梅寒し

A falling star in the chill of plum blossoms at dawn

1894年(明治27年)
falling star = 流れ星
写真も2月の章光堂
大久保俊充七回忌の折の席題か?
夜明けと流れ星の組み合わせが綺麗だ。
3月

桜満開間近の松山城 (撮影:政岡孝)

野に出でゝ写生する春となりにけり

Out in the field to sketch spring has come

1900年(明治33年)
病床にありながらも外へと目の向く子規の強さ。
原野10句のうちの一句
写真の桜は一週間しかないので,朝早く3,4度通った。人も多く大変だった。

4月

萬翠荘 (撮影:政岡孝)

日暮るゝや寺に灯ともす山櫻

Nightfall the mountain cherry blossoms light the temple

1896年(明治29年)
昔の静かな風景が浮かぶ句として選句
脊椎カリエスとわかる一週間前
もう少し下の道路を出せば良かったか。

5月

城北キャンパス (撮影:政岡孝)

其上に城見ゆるなり夏木立

The castle appears above a summer grove

1894年(明治27年)
どこの城のことか不明だが,緑に憩う学生達の上に城が見えてくるようだ。
2年経って早稲田大学の文芸誌に掲載
緑ある大学で良い写真
6月

附属農園 留学生 (撮影:政岡孝)

舟一つ虹をくゞつて帰りけり

One boat going home under the rainbow

1890年(明治23年)
子規の「虹」を季語として使った句はこれ一つ
農業を学んで帰る留学生とイメージが一致
雄大さや夢を感じる句
7月

ウィスコンシン大学マディソン校

夕風や白薔薇の花皆動く

Evening breeze white roses all stirring

1890年(明治23年)
高浜虚子へ写生の手本として手紙に書かれた一句
windではなくbreezeのイメージか
無細胞研究の説明書きがあればなお良かったか。
8月

保育施設「あいあいキッズ」 (撮影:政岡孝)

うれしさや七夕竹の中を行く

Happiness passing through tanabata bamboo decorations

1893年(明治26年)
子どもの視線を向けてもらうのに2・30枚撮り,苦労した写真
前書きに「旅中」とあり,同年の東北旅行の際の句か 。
9月

松山城天守閣 (撮影:政岡孝)

見あぐれば塔の高さよ秋の空

Looking up to the height of the pagoda autumn sky

1895年(明治28年)
柳原極道と一緒に石手寺に参った時の句
〆切間近に写真を撮りに走ってもらった。
「身の上や みくじを引けば 秋の風」 同時期の句,そのくじには「病気長引く也,命にはさはりなし」と。
10月

HIME-DIA (撮影:政岡孝)

長き夜や千年の後を考へる

The long night thinking of a thousand years from now

1896年(明治29年)
「千年の後を考える」=大学と結びつく 千年前を考える時,変わらないものがあることに気付かされる・・・選句者評
4mmのダイヤを撮った後,埃を画像から取り除くのに苦労した。
11月

宋版「宗鏡録」 (撮影:政岡孝)

順禮の数珠もんで行く時雨哉
A pilgrim goes telling his prayer beads winter drizzle
1892年(明治25年)
芭蕉の句にも「時雨」は多いが子規も多作している。
「宋鏡録」は同じ版が文化財になっている。
落款の赤をもっと強くすれば良かったか。
12月

天狗岳(石鎚山) (撮影:政岡孝)

人間を笑ふが如し年の暮

The end of the year as if laughing at humans

1898年(明治31年)
なかなか出くわさない一期一会の一枚。流雲と天狗岳の造形は見事。
シニカルな表現が年の暮れを深く捉えている・・・選句者評