28限目:福助工業(株) 福田さん・池内さん・大久保さん

福田 佑哉さん
(2017年3月 法文学部総合政策学科 卒業)
<取材時:ラミネート工場業務課>
池内 拓実さん
(2021年3月 工学部応用化学科 卒業)
<取材時:製造技術部 加工技術グループ>
大久保 遥香さん
(2019年3月 理学部理学科 卒業)
<取材時:人事部 人事課>
福助工業は合成樹脂製品・ラミネート製品・食品容器・紙製品・不織布・複合製品など軽包装資材を主力とする企業です。
現在、どのような仕事を担当されていますか。
〈福田さん〉弊社では包装資材を生産しており、そのなかでも私はラミネート包装の生産管理をしています。ラミネート包装とは、異なる素材のフィルムを複数層に重ね合わせたものです。業務では受注内容に基づいて製造予定や製造指示等を作成し、滞りなく生産ができるようにしています。
〈池内さん〉本社工場の製造技術部で、ラミネート包装の開発をしています。例えば、冷凍食品と氷の包装は両方ラミネートされていますが、前者の方が酸素を通しにくい構造になっています。このように、用途に応じてフィルムの種類や構造を検討し、新製品設計や既存製品の改良を行うのが主な業務です。
〈大久保さん〉人事部に所属しており、会社の中の人に関わる仕事を幅広く担当しています。具体的には、給与計算、社員研修、新入社員へのヒアリングなどです。合同説明会への参加や面接準備等、採用関係も担っています。
今の仕事を選んだ理由やきっかけを教えてください。
〈福田さん〉最初の出会いは大学で行われた説明会です。食品メーカーに関心を持っていたのですが、直接食品をつくるのではなく「包材」という形で食品に関わる道があること、そして、そのような会社が愛媛にあることを知り、興味を持ちました。エントリーは全国の30〜40社へしましたが、移動などの都合から全ての選考に足を運ぶのは難しかったため、「自分が本当に行きたいところはどこか」を考え、取捨選択を重ねていきました。なお、職種は特に絞っていません。部署ごとに役割は異なっても、会社として成果を出すという最終的なゴールは共通していると考えていたからです。最終的に、総合職として弊社に採用されました。
〈池内さん〉私が弊社を初めて知ったのは大学の講義でした。もともとは旅行業界に関心をもっていましたが、コロナウイルスの影響で就職が難しい状況となり、愛媛県内の企業から魅力的な会社を探しました。私もエントリーは30〜40社ほどしましたが、面接では3、4社まで絞りました。その際に軸としたのが、自分の身近な生活に役立っているものをつくっていること、そして、大学で学んだ高分子化学などの理系の学問を生かせることです。福利厚生なども確認はしていましたが「この会社でずっと働き続けたい」と思えるかを重視していました。
〈大久保さん〉私も、出会ったきっかけは大学の講義です。当時の弊社の人事部の方からお話を伺ったのですが、実演を交えながら一生懸命伝えてくださる姿が印象的で興味を持ちました。エントリーしたのは西日本を中心に40社以上で、面接に進んだのは20社弱です。大学でこちらに来て愛媛が大好きになったので「四国近辺の就職もいいな」と思っていましたね。ジャンルは製造系、銀行、ベンチャーなどさまざまでしたが、「自分が働いているイメージができるか」を重視しました。そのため、説明会に参加するのはもちろん、会社訪問に対応していただける場合は必ず自分で足を運ぶようにしていました。最終的に弊社に縁があり、就職することになりました。

仕事の難しい部分とやりがいを教えてください。
〈福田さん〉弊社では、私が所属している工場だけでも一万点以上のアイテムを生産しており、お客様のご要望も多岐にわたります。ただし、使用できる機械設備には限りがあるため、納期などを考慮して優先順位を立て、調整していく必要があります。こうした作業は大変な反面、求められた通りの製品が完成し、最終的に店頭に並んでいるのを目にすると、とてもやりがいを感じます。
〈池内さん〉開発においては、まず要求項目を設定し、それらを満たす製品をつくっていきます。ここでカギとなるのが、高い要求項目をいかに低いコストで実現できるかです。バランスの調整は難しいものの、開発した製品が売上に貢献していると実感できたとき、大きな喜びを感じます。
〈大久保さん〉採用活動を通して学生さんが弊社に興味を持ち、面接、内定、入社を経て活躍されるプロセスを見ると、「やってよかった」と心から感じます。実は、池内さんの就職活動中にも携わっていました。一方で、人に関わる業務の難しさは、正解がないことです。説明会やインターンシップ、社内研修などについて、常に最適解を考え続けています。もっとも、お二人が話したように面白さと難しさは表裏一体なので、これが面白さとも言えます。
職場の良いところや福利厚生について教えてください。
〈福田さん〉若いうちから色々なことを任せてもらえるので、やりがいがあります。上司に「とりあえずやってみたら」と背中を押してもらい、安心して挑戦できました。責任は当然伴ってきますが、成長する速度も速くなるのが良いところです。
福利厚生で言えば、単身のときは社員寮に住んでいたのですが、部署をまたいだコミュニティが生まれるのが良かったです。県外から就職した方はほとんど寮に住んでいたかと思います。会社が船を持っていて、免許さえあれば借りられるのも特徴的かもしれません。
〈池内さん〉社員同士の交流が多く、部署内外を問わず風通しが良いです。寮でできたコミュニティを通じてプライベートな付き合いもありますし、会社としても歓談を楽しむ会が定期的に開催されています。こうしたフランクな場でできた関係性は、仕事を円滑に進める上でも大きな助けになります。私が福田さんと出会ったのも寮でしたね。男子寮には食堂があり、日々、栄養満点の食事を食べられるため、健康面でも安心です。
〈大久保さん〉就職の際、福利厚生を特別重視してはいなかったのですが、入社してみると想像よりも充実していました(笑)。私も女子寮に住んでいますが、普通のマンションに弊社の社員が住んでいるという感じです。安心して住めますし、なにより職場に近いのは便利です。
福利厚生としては社員旅行もあります。私は九州に行ったのですが、海外に行っている方もいらっしゃいますね。行き先の選択肢が多いのは特色かもしれません。
また、池内さんがおっしゃったように風通しは良く、例えばオフィスには仕切りがなく話しやすい環境になっています。若いうちから挑戦できるのも、どの部署でも共通だと思います。

余暇の過ごし方について教えてください。
〈福田さん〉子供がいるので基本的には家族でどこかに遊びに行くことが多いです。アウトドアが好きで、よく海や山に行きます。趣味の釣りも時間を見つけていっています。私が所属している部署は土日祝が休みなので、ライフワークバランスが取れる環境になっているかと思います。
〈池内さん〉私は美味しいものを食べるのが好きなので、四国四県のちょうど真ん中である四国中央市に本社があることを生かして、四国各地の美味しいものを食べたり、観光名所を回ったりしています。あと、仕事で疲弊した時には趣味のゲームをしたり、寮の同期で時々ご飯に行ったりしながら、のんびりと過ごしています。
〈大久保さん〉私は最近車を買ったので、ドライブに行くことが多いですね。基本的に土日が休みなのはもちろん、長期連休もしっかりとれるので、実家によく帰っています。お盆やゴールデンウィーク、年末年始など、長い時は九連休ほどあって、最近では八日間のお盆休みがありました。
在学時について教えてください。
〈福田さん〉私はフットサルのサークルに所属していて、サークルの友達と一緒にいることが多かったです。音楽も好きで、大学の近くにあるライブハウスによく友達と一緒に行っていました。アルバイトは居酒屋の厨房をしていたのですが、就活の面接の際に「だし巻きを作るのが得意です」と話したら笑っていただけて、話題のきっかけになりました。
〈池内さん〉私は三回生の前半までは勉強漬けの日々でした。特に化学科だったので、実験をしてはレポートを書く、というのを相当な頻度で繰り返していましたね。ただ、長期旅行は大学生のうちしかできないことだと思ったので、タイなどの海外を含めて少し無理をしてでも行くようにしていました。友達と課題をしつつ遊びつつといった感じで過ごした空きコマが、息抜きをする時間になっていたかと思います。
〈大久保さん〉私も研究漬けでした。もう一つ力を入れていたのが、研究室配属まで所属していた愛媛大学公認の「愛媛大学学生メンターズ(ESMO)」という、未来の愛大生や新入生をサポートするボランティア団体の活動です。代表としてオープンキャンパスや入学式に向けて走り回っていました。その活動の中で学部以外の友達もできて、今でも全国津々浦々に会いに行っています。そういう意味で一生の友達を得られたのかと思います。実験、ボランティア活動、アルバイトと、メリハリをつけて頑張りました。

愛大生へのアドバイスをお願いします。
〈福田さん〉大学での生活は、自分では忙しいと感じていましたが、自分で生活リズムを決められたり長期休暇があったりする環境は特殊でした。今振り返れば時間をもっと大切に使えばよかったです。数年後に「あのときこうしておけば」というのは人間誰しも考えることだと思うので、今この瞬間を精一杯楽しむことが大切だと実感しています。
大学生活は楽しいことだけではなく辛いこともあると思いますが、そういったものが数年後には自分にとって大事なものになります。時間的、経済的な制約はあると思いますが、限られたなかで最大限楽しんでみてください。
〈池内さん〉私は就活に関して、会社名だけで判断するのではなく、実際に話を聞き、働いている人を見て、職場を体験してから志望企業を考えることをオススメします。私自身は、企業の名前から判断する場合が多かったのですが、就活を通して名前からは思いつかないような面白いことをやっている会社も多く発見しました。たくさんの企業を見る中で忙しくて大変かもしれませんが、企業の中身を直接知れる「企業説明会」や「インターンシップ」を通して、自分の目で企業を確かめて悔いのない就活を目指してみてください。
〈大久保さん〉私は就職支援課を活用して、面接対策をしっかり行いました。就職支援課で模擬面接を行う機会があったので、そこに練習に行っていました。エントリーシートが通ったとしても面接を重視する企業もたくさんあります。そのなかで緊張していても飾らずに言いたいことが言える精神状態でいられるよう、とにかく場数を踏みました。しっかりと準備をして面接に臨むといいと思います。それから、アピールする長所が分からないという方は、自分がやりたくないことを除いていくと、残った部分から自分の強みが見えてくるかもしれません。
学生生活に関しては、当時「たくさん遊びなさい」と言われて、正直「そんな時間がない」と思っていたのですが、時間はあります。福田さん、池内さんと同じ思いで、とにかく今を精一杯楽しんでいただきたいです。
インタビューを終えて
【山下】
生産されている製品の展示を見させていただいたところ、日常的にスーパーで目にする包装物や有名なメーカーのパッケージが並んでいて驚きました。今回お話を伺った皆さまの仕事によって私自身の日常生活が成り立っていると実感し、「働いて社会にサービスを生み出す」ということが、よりイメージできるようになったと思います。また、印象的だったのが、皆さまが「大学生活、時間はある」と強調されていたことです。今を精一杯大事にして過ごしていきたいと思います。
【谷口】
部署も年齢も異なる三名の方にお話を伺いましたが、皆さん終始楽しそうに話してくださり、私自身もリラックスしてインタビューに臨むことができました。福助工業株式会社の社内の風通しの良さを強く感じるとともに、「やりたいことをやらせてもらえる環境」があるのは、こうしたオープンな雰囲気が根付いているからなのだと感じました。私も、将来このような前向きで働きやすい雰囲気の職場で、自分らしく働いていきたいと思いました。
お忙しい中、インタビューにお答えいただきありがとうございました。
<令和7年11月14日掲載>


